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この指止まれ!
本人と父母の体験談

No.16

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中学生・女子

進学校

言及なし

子どもが動かず、母だけ1年通ってきて

娘が不登校になったのは、親からすれば突然でした。
中一の二学期の期末テスト期間中に、テストも何もかも放り出した状態で突然「行かない」の一点張り。
受験して入学した中高一貫校で、とにかく課題の量も多く、授業のスピードも速く、中々ついていくのもしんどかったのだろうと思いますし、入部した運動部でも何かトラブルがあったようでした。実力不足の割に支配的な態度、物言いをすることがあり、反感を買ったのではないかと思いました。
入学してから休むことはなかったけれど、大人でも持ち上げるのが大変なほどのカバンを持って電車通学するのも体力的にはきつかったのか、原因不明の皮膚炎や口内炎などのトラブルがあったのも、ストレスが大きかったのかもと後から思いました。なんとなく「つらい」という事をくみ取ってやれなかったことを親として反省しました。

その後、「学校を休むにしても、担任の先生にはお話をしないと」という事で何とか学校へ行き、担任の先生にはお会いしましたが、本人は一言も話さず、先生も学校でも変わったところはなく、思い当たることがないとのことでした。本人はそれきり誰かに会うことは拒否したので、私(母)だけが先生、教頭先生、保健室の先生、スクールカウンセラーの方には会いましたが、「様子を見ましょう」という事だけでした。

休んだまま冬休みに入り、冬休み中は朝も起きて家の手伝いもしていましたが、冬休みの課題には一切目もくれず、ほとんどパソコンと本を読んで暮らしていました。「どうしたいのか」「これからどうするつもりなのか」などの話をしようとすると「話は何もない」「このままでいい」の一点張りで話し合いにならず、そのあとは食事もせずに部屋から出てこない日が数日続くの繰り返し。昼夜逆転の生活で、一度家を出て行ったこともあり、目を離せないので、私はリビングで寝るようになり(窓から出ていかないように)、ネットで不登校関連の記事を夜中に見ていました。

そんなときに元気学園のページを見つけ、ここならと思い面談をお願いしました。
娘は同意しなかったので、親だけ静岡に伺いました。
突然学校に行かないと言い出したのが12月初め、面談に伺ったのがクリスマスの日でした。

「本人に会ってみないと正確には分かりませんが…」というお話でしたが、学園の雰囲気、在学生の皆さんの明るく礼儀正しい対応など、ブログから感じたとおり、ここならと思える学校だったので、すぐにでも入学させていただきたかったのですが、本人が来ない事には、それも無理で。
その時に先生からは「親御さんだけでも通われたら…」と言われたのですが、遠かったこともあって今度来るときは娘を連れてこれるとき、と勝手に判断してしまい、結果、不登校期間を長引かせる原因になったと思っています。

その後も娘は一度も学校へ行くこともなく、たまに外出したり友達と会ったりもしましたが、家でダラダラと過ごし、私たちに生活態度をとがめられたり、今後のことを話し合おうとすると部屋に引きこもって昼夜逆転する、の繰り返しでした。様子を見ていてもらちがあかないし、このまま成長の大切な時期を何もせずに過ごすのかと思うと急がなくてはいけないと思いましたが、親の言うことはとにかく聞く耳を持たず状態だったので、娘を動かすには第三者の力を借りるほかないと思い、もう一度、学園に面談をお願いしました。

最初に伺った時から半年たっていました。
娘も誘いましたが無理で、私(母)だけ面談していただきました。
面談といっても本人不在なので、私が生徒さんの活動している様子を見たり、夕食づくりのお手伝いをしたり、保護者の方とお話ししたりして、月に1度か2度のペースで何かイベントや誕生会の折に誘っていただきました。
何回目かにS先生に「子供も来ないのに意味があるのかと思うかもしれないけれど、子どもは親を見ているし、親がいいところだと信じて、ここの話をしたりすれば聞いていないようで聞いています」と言われて、それを信じて通いました。
今思えば、通ったことで私自身が希望を持てて落ち着けたことが一番の収穫だった気がします。

何か月かはそんな月が続き、ダメもとで「明日、静岡に行くけど一緒に行く?」と娘を誘ったところ「行ってもいいよ」という返事。誘ったこちらがびっくりしました。気が変わらないうちにと、急いで親子での面談をお願いし、ようやく学園に連れていくことができました。不登校になって、11か月ほど経った頃でした。

行きの新幹線ではすごく緊張しているようでしたが、面談の帰りにはこの一年見ることのなかった笑顔も出て、動き出せたことに本人も安心したのだと思えました。その後、入学を許可していただき、中二の秋から四年半、学園でお世話になり、今年の春、国公立に合格し大学生になりました。大学にバイトにと忙しそうですが、若者らしく元気に溌溂と毎日を過ごしています。

皆が乗っている船から、泳ぎも未熟なのに何も持たずに海に飛び込んでしまった娘。しばらくは戻っておいでと声をかけてくれていた仲間たちも船と共に遠ざかってしまい、ポツンとただ一人漂っていた我が子。
そこに元気学園という船が近くまで来て、「楽しいから乗っておいで~」と何度も声をかけてくれ、拾い上げてくれて、楽しく船上で生活しながら実力をつけ、各人にあった港で船から降ろすところまで面倒を見てくださいました。

娘は今、降ろしていただいた港から歩きだしたところです。
どんな街で、どんな風に暮らしていくのか、つけていただいた力で切り開いていってほしいと願っています。
あのまま漂っていたら、今頃どこかの島に流れ着いたでしょうか。そこで途方に暮れていたのか、後悔していただろうか、今でもまだ悩みの中にいただろうかと思うと、学園に出会えたことに感謝しかありません。

言葉だけでなく、実際に子供を動かして育ててくださる所はなかなかありません。

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