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優等生だと思っていた娘。親は「何も分かっていなかった」

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本人と父母の体験談

No.17

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言及なし

優等生だと思っていた娘。親は「何も分かっていなかった」

初めて元気学園を訪ねてから、娘をおあずけするまでに1年半ほどかかりました。
入学を希望する親と尻込みする娘。何度か親だけで相談にも伺わせてもらいましたが、我が家は親子で綱引きをしている状態でした。娘を動かすことができず、「厄介払いするようで嫌だ」の娘の言葉に負けて一度は断念しました。
娘の気持ちを大事にしようとの決断でしたが、今思うと、私たちは『分かっていなかった』だけでした。

娘は中3で不登校になり、ごく近しい友をのぞいて友人との交流も断ち、あんなに精力的に取り組んでいた学校以外の活動も一切やめてしまいました。学校の勧めで、親だけでもとスクールカウンセラーとの面談に通い、思春期専門の病院にも相談したり、家族でカウンセリングにも行きました。勉強の遅れを少しでも小さくするため、本人の負担にならない程度に週1回家庭教師に来てもらいました。しかし、いろいろ手を尽くしても状況は変わりませんでした。

家での娘は、朝起きて一緒に朝食をとり、私が仕事から帰るとおやつを食べながら雑談、一緒に犬の散歩、そして夕食。夜には就寝。ただ、日中家に一人のときは寝ていたようです。
登校を促せば反抗する父親に対する拒否反応もありましたが、刺激しなければ何も問題行動はありませんでした。
私のほうは、母の闘病や看取り、父の介護、夫の仕事で抱えるストレスなど、一気に心配事が押し寄せていた時期と重なっておりました。その頃は何か助けを求められるたびに私の行動の優先順位は変わり、娘の抱える問題に鈍感になっていたかもしれません。

高校で留年が決まり、通信高校に行くと言って転校しましたが、そこでも期末考査(それも別室受験)以外は数えるほどしか登校できず。それでも高校2年生の夏に進路を考えるようになり、大学受験のため塾に行くと言ったけれど実際に行けたのはオリエンテーションだけでした。
このままでは受験は無理?そもそも受かったとしても通えるの?働けるの?娘は将来自立できないかもしれない。以前から頭にはあったけれど、直視せずにいた問題が目の前に積み重なっていました。
親が真剣にわが子の将来を考えなければ。このまま家においても娘は変わらない。

良い先生のいるところへ娘をあずけたい。一度はあきらめたものの、元気学園のブログはずっと拝見していました。やはりここしかないと1年半ぶりに娘を連れて、入学させてほしいとお願いに参りました。

そこで先生から娘のどういうところがつまづきの原因なのか、お話を伺いました。
学校の成績だけでは見えてこない学力不足
そして、自分の生活を支えてくれるまわりに対して感謝の気持ちが希薄
親にとってはわが子が特別かもしれないけど世間は違う、お願いしますと謙虚な気持ちがなければ上手くいかない。まわりは離れていくよ、という内容でした。

成績上位で学校でトラブルもなかったわが子に、こんなことを指摘してくれる先生は今までいませんでした。
これまで娘を育ててきて思い当たることはたくさんあって、修正できなかったことも気づいていたので、親として耳が痛く、しかし、一番納得できる話でした。元気学園からの帰りの車中で、「ここでお世話になって、つまづいたところからやりなおそう。あなたがどう言っても親の決心は変わらない。」と娘に伝えました。
娘にしても、元気学園が素晴らしい場所であるのは、生徒さんの姿を通して分かっていました。
親が覚悟できたら、娘もそれを感じとっているようでした。あとは背中を押すだけです。
「『よろしくお願いします』が言えたら入学を許可するよ」と先生が仰ってくださり、その後2回目の訪問時にようやく娘は言えました。

娘が元気学園に入学して9か月が経ちました。
すっかり健康になり、1日を通して活動できる体力がつきました。
自分でもこれなら手伝えそうかな?と入学以来食事当番をしています。学園のメンバーとして何かしら活動ができる喜びを感じていると思います。学園の食事はどれも美味しいもので、娘も少しずつ料理を覚えて、休みに帰宅したときに家族に振舞ってくれます。

入学前に先生からいただいた課題は、少しずつですが、集団生活の中で確実に改善してきています。
合唱はやりたくないと拒んでいた娘でしたが、入学から4か月後の合唱コンサートで皆と一緒に舞台上で歌えるようになり、自分のイヤな気持ちに左右されずにやるべきことを実行できました。これをきっかけに、それまで遠ざかっていたピアノで合唱の伴奏をするようになりました。

また、先日は娘が父親に「家族のために働いてくれてありがとう」と言いました。初めてです。感謝を言葉で伝えることができてよかった。ここにきてつくづく思います。
社会で生きていくのに必要なことを元気学園で学ばせてもらっています。

娘が不登校で家にいた時、何も動かなくて響かなくて、「なんて無気力な人間になってしまったんだろう」と、あるときは情けなく、またあるときは不憫に思いました。しかし、きっと娘は動けるものなら動きたかったでしょう。それができず、本人だけではなく親も姉妹も、家族皆で苦しんだ時間でした。

元気学園に出会って、幸運にも私たち家族は抜け出すきっかけを手にしました。
同じ思いを抱えるご家族が1日も早く解決の糸口を見つけられますよう、参考になれば幸いです。

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