ロゴ画像
ロゴ画像
HOME 卒業生・保護者・生徒の声 この指止まれ!本人と父母の体験談

Slow but steady!不登校のゴールは学校復帰ではなく社会の一員になること!

卒業生・
保護者・
生徒の声

voice

この指止まれ!
本人と父母の体験談

No.01

本人

高校生・女子

その他疾患(虚弱)

Slow but steady!
不登校のゴールは学校復帰ではなく社会の一員になること!

はじめまして。 私は中学2年生から不登校になり、中学3年生の冬に元気学園に入学し、4年間お世話になりました。
現在は医師として働いています。

私の経験が今不登校で苦しんでいる子やご家族のお役に少しでも立てたらと思い、今回筆を執らせていただきました。
少々長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。

1. 不登校の原因は虚弱が原因かも?!

不登校になる原因は様々だと思いますが、元気学園が特に得意としているのは身体が弱くて学校に行けなくなってしまった子を元気にすることです。
私は中学2年生半ばから保健室登校、そして不登校へと至りましたが、当時自分自身では頭が悪くて勉強についていけなくなったから学校に行けなくなったと考えていました。しかし学園の見学に来た際に、不登校になったのは身体が弱くて長時間勉強ができないことが原因と気づいて、入学してまずは食事と運動による健康な身体作りからスタートとなりました。運動と言っても生活の中に組み入れているので、特に辛かった記憶もなく、適度な運動をしてお腹が空いたところで美味しいごはんをもりもり食べるという感じでした。

気づけば体の厚みがなくて薄くてぺらぺらだった身体も10kg近く体重が増え、体力が付きました。また、先生方の根気強く熱心なご指導もあり学力がついていきました。
それによって、学園を卒業して医学部に入ったあとも、たくさんの課題、大変な実習、そして医師の激務をも、乗り越えられる身体を手に入れることができました。

学校に行けないのは、“ココロ”の問題と思われがちであったり、「やる気が出ない…頑張れない…。」と一見子どもがズルしてサボっているように見られがちかもしれませんが、不登校の背景には虚弱が隠れていることも少なくないのです。

2. 元気学園との出会い

私が不登校になった時に感じたのは、絶望でした。
義務教育でみんなが学校に行っているのに自分は行けなくなってしまった…これからどうなるんだろう…真っ暗闇の中でひとりぽつんといる感覚でした。
父は決して私を無理に学校へ連れて行ったりプレッシャーを掛けたりするようなことはしませんでしたが、私が衰弱していく姿をみて、学校には行かなくても良いけど、家で籠もっているのは心配だし、どうにかしなければと色々調べてくれて、体調不良のある子どもたちを元気にする元気学園を見つけてくれました。

学園に面談に来てみて、到底不登校と思えないくらい元気にしている先輩を見たり、卒業生が活躍している姿を目の当たりにして、自分もこんな風になれるのかもしれないと一筋の希望が見えたのを、今でも覚えています。

3. Slow but steady! (ゆっくりだが確実に)

やっと自分も、頑張れることができる元気学園と言う場所を見つけて、身体が元気になってきて、次に感じたのは焦りでした。学校に行けなくなってから既に1年以上経過しているにも関わらず、今更?と思うかもしれませんが、また学校に行けるようになるかもと思うと約1〜2年分勉強が遅れていることに気づいたからです。(また学校に行けるかもなんて嬉しい悩みではあるのですが…。)

そんな私の焦りを父は感じ取ったのか、「急いで実力をつけようと思ってもなかなか自分の身にはつかないことが多いよ。目標はなにか見失っちゃわないようにね。一歩一歩着実に、Slow but steady!でね。」とアドバイスをしてくれたのです。その言葉で、私は学校に戻るのが一番の目標なのではなく、困った人を助けたくて医師を目指しているんだ!と再確認、ちゃんと腰を据えて実力をつけるために日々努力しようと決意したのでした。

4. 準備にかかる期間はひとそれぞれ

卒業生や在校生はご存知の通りと思いますが、学園に来て1週間もすれば頬が赤くなり血色が良くなったことは誰の目から見ても一目瞭然、そして可愛らしい笑顔も戻ってきます。面会に来たご両親も「よし、これだけ元気になれば学校に戻れる!」と自分のことのように喜んで、いつから復帰させようと意気込む方もいらっしゃるでしょう。

しかし、ここで少し気をつけなければならないことがあります。それは短期間では根本的な解決に至らない子どもがいることです。
1で不登校の背景に虚弱が隠れていることをお話しましたが、虚弱に加えて、学力やコミュニケーション能力不足、長期的な人間関係が築けないなどの問題も一緒に抱えていることが往々にしてあります。
もちろんひとそれぞれ性格や個性は異なりますし、育ってきた環境、不登校になってからの期間も違うので困りごとの程度や抱えている問題は様々です。元気学園ではひとりひとりにあわせて課題を設定してくれるので、少しずつ、けれども確実に、すべての子が実力をつけることが出来ます。

しかし、身体作りも学力も今まで不登校していた分を取り返し、その上で実力を手に入れるのにはそれ相応の準備期間が必要になります。
準備期間の中でなかなか成績が振るわず、加えて不登校時代を思い出して落ち込む私に、先生が「ここから大阪に行こうと思ったらどうやって行く?」と尋ねました。「静岡からなら新幹線で行きますかね。」と言った私に、「ここから成田空港に行ってアメリカ、ヨーロッパとかを回って関西空港に行って大阪に入っても良いのだよ。一見遠回りだけど、素晴らしい景色を見て、人と触れ合って、大変なつらいこともあったりして、色々な経験をして、きっと奥深い人になれるんじゃないかなぁ。遠回りも悪いことだけじゃないよね。」とおっしゃりました。私としてはかなり衝撃的なものの考え方で、でも、私のつらかった不登校の経験も、私が素敵なひとになるための遠回りだったのか!と思えて少しあたたかい気持ちになったのでした。この考え方は今でも私を助けてくれています。

困りごとの程度が軽い方はすぐに復帰して活躍している方もいますが、自分はすぐに復帰できないからと焦る必要は全くないこと、つらい経験もちょっぴり大変な準備期間もそれはすべて素敵なひとになるための布石で、みんなの助けを借りつつ、コツコツやっていけば入学時と比べて見違えるくらい、できることが増えていくことを、お伝えしたいです。

5. 不登校のゴールは学校復帰ではなく社会の一員になること!

子どもは不登校になってしまった、親に迷惑をかけてしまっているという負い目と、学園に来て自分がこんなに元気になったよ!できることがこんなに増えたよ!ということを大好きな親に見せたいという気持ちを持っています。そしてその気持ちを受ける側の親も不登校していて暗かった子どもに笑顔が戻って嬉しい、子どもには良い未来があって欲しいと願うのだと思います。だからこそときどき親の期待がちょっとだけプレッシャーになって、それが焦りにつながることがあったりします。

色々進路に悩まれる方も多いと思いますが、今の自分の実力と今後の伸びしろ、そしてどう社会で生きていきたいかという夢を、子ども、親、そして先生方、仲間たちとみんなで考えていけるのが良いのではないでしょうか。
長い目で見たときに、焦って学校復帰がゴールと思って走るのではなくて、これから社会の一員として生きていける真の実力を身につけることこそが最も重要なことだと、大人になった今しみじみ思うのです。

そして地道な努力を積み重ねるときにいつも隣で見守ってくださり、何回失敗しても嫌な顔ひとつせずもう1回やってみよう!ちょっとずつ良くなっているよ!と根気強く指導してくださった先生方や先輩たちには本当に感謝しています。

また、同じ釜の飯を食った仲間たち(言葉の通りいつもお米の釜からご飯を奪い合っていました笑)との出会いもかけがえのないものでした。遅れを取り戻すつらさで少し参ってしまった時に、同じ不登校を経験した励まし合える仲間がいたからこそ、ここまで来れたのだと思います。受験前に夜遅くまで勉強したあと、「勉強しすぎて顔色悪いね!」と笑い合って食べたあの夜食のラーメンの味は一生忘れないです。

6. おわりに

当時不登校でうつ状態だったのもあり、布団にくるまった日々を過ごしていた私を心配した父が、フリースクールを調べ、元気学園に連れていってくれた日から早16年が経とうとしています。忙しい中でほとんど毎週末学園に来てくれて、プレッシャーに弱い私に余計な圧をかけまいといつもあたたかく愛情いっぱいに見守ってくれた父には心から感謝をしています。
このメッセージが、不登校で困っているけれどどうして良いかわからない、そんな方の背中をそっと押すきっかけになればいいなぁと思います。

元気学園は不登校の本質を見てくれます。
不登校が「学校に行けるようになった、良かったね」、だけで終わらない、一生の問題を解決してくれるところです。私の拙い文章では元気学園の素晴らしさをすべてお伝えできないので、ぜひ一度面談にいらしてください。みんなが元気に笑って活動している姿や、遊びに行くと必ず礼儀正しくさわやかに挨拶してくれる姿を見て頂けるのが一番良いかと思います。
私もときどき来ているので、もし良かったらみんなで一緒にお話ししましょう!

いつか、あの遠回りも素敵なひとになる一歩だったんだと笑える日が来ますように。

copyright © 1995フリースクール 元気学園
All Right Reserved.